Studio Oneのコンピング機能
コンピングのツールとワークフローはどのDAWも似通っていますが、その手順やツール名にはある程度の違いがあります。ここでは特にMelodyneの使用に影響する部分に関するこれらの点について説明します。
レイヤーを作成する
テイクが個々のレイヤーに保存されるようにするには、Studio Oneで次の設定を行う必要があります。
- [表示]メニューで_[録音パネル]を開く
- 録音モード_[テイクをレイヤー化]_を選択
これで、ひとつのトラックに繰り返し連続して録音すると、各録音が個々のレイヤーに保存されるようになります。
ただし、Studio One上で録音したのではなく、別のDAWから個別のファイルとしてインポートしたボーカルのテイクの場合、まず新規トラックを作成してから、インポートするトラックのうち最初のトラックをそこにドラッグします。次に、_[トラック]_メニューで_[レイヤー]>[レイヤーを追加]_を選択し、必要な数だけレイヤーを作成して個々のボーカルテイクをレイヤーにドラッグします。
Melodyneを有効にする
最も迅速で、最もフレキシブルなコンピングワークフローを実現するには、テイクを録音するたびにMelodyneを使用する癖を付けておくとよいでしょう。あるテイクを録音して停止したらMelodyneを適用(_Cmd+M_)し、次のテイクを録音して停止したらMelodyneを適用する、という風に行います。
数テイクをMelodyneなしでコンピングし、後になってからMelodyneをオンにするのは賢明とは言えません。なぜなら、Studio Oneでそういった操作を行うと、Melodyneはコンピングトラックに含まれているイベントにしか適用できず、アウトテイクには適用できなくなり、それ以降コンピング境界を変更することができなくなるためです。確かに、すでに着手したコンピングのロードマップを諦め、最初のテイクのすべてをコンピングに取り込んでMelodyneを適用し、2つ目のテイクのすべてをコンプに取り込んでMelodyneを適用する、という作業をすべてのテイクに繰り返すことで修正することができないわけではありませんが、非常に面倒な作業になります。そのため、テイクを録音するたびにすぐにCmd+Mを押す癖を付けることをおすすめします。マウスを余分に1回クリックするだけで、手抜かりを修正するムダな時間と面倒を避けることができます。
スワイプまたはクリック
マウスポインターツールを使用して、テイクをクリック&スワイプしてこのテイクが再生されるパッセージを定義します。
この方法でパッセージの境界を定義すると、別のテイクをクリックするとこの2つのテイクがいわば「入れ替わり」ますが、境界自体は変化しません。
境界を動かす
それ以降のコンピング境界を動かすには、2つの連続するのテイクのうちいずれかのテイクの境界をドラッグすると、もうひとつのテイクの境界もそれと一緒に動きます。
レイヤーが非表示の場合であっても、境界を動かすことができます。これを行うには、マウスポインターがその形を変えるよう、コンピング境界の下側まで動かします。
境界をドラッグする場合は、Studio Oneでタイムグリッドを無効にするかShiftキーを押したままの状態で(グリッドを一時的に無効にして)操作することをおすすめします。これは、テイクとテイクの切れ目は音節や息継ぎの間に来ることが多く、グリッド通りになることはほとんどないためです。この場合、Studio Oneのズームレベルはあまり重要ではありません。音節の間の切れ目を探すには、Melodyneで素材を確認するのが一番です。Melodyneで適切なレベルまでズーム(Melodyneのタイムルーラーを上下にドラッグすることで簡単に行えます)してから、Studio Oneで境界を動かしながら、縦線が適切な位置にあることをMelodyneで確認します。
Melodyneのモード:トラック編集とクリップ編集
ほとんどの場合、Melodyneでコンピングを行う場合、トラック編集モードを選択することになるでしょう。ここにはメイントラック、つまり、聞こえる一連のノートが表示され、Studio One内で設定されたコンピング境界が縦線で示されます。
代替方法として、クリップ編集モードに切り替えることができます。
ここでは、_ひとつのテイク_を全体にわたり詳細に確認することができます。ハイライトされているエリアは、このテイクが再生に含まれる(Studio Oneで定義されている)パッセージに相当します。背景が灰色のエリアは、テイクに含まれているその他の部分で、Studio Oneでコンピング境界を動かすと聞こえる部分を示しています。
クリップ編集モードでは、コンピングによって現在切り取られているノートの末尾を把握しやすくなります。
ハイライトされているエリア内に完全に収まるよう(DAWで定義されているコンピング部分内にきっちり収まるよう)ノートを短くすることができます。
トラック編集モードとクリップ編集モードのそれぞれの利点について詳しくは、 こちらをクリックしてご参照ください。