[タイムをクオンタイズ]マクロ

  • The timing tools– ノートのクオンタイズ、位置と長さの変更、内部のタイミング修正。Melodyne 5 studioの場合。別エディションでは異なることがあります。日本語字幕。

このツアーでは、[タイムをクオンタイズ]マクロを使ってすばやく簡単にノートのタイミングを修正する方法について説明します。

クオンタイズのタイミング: 何がどこに移動するのか

[タイムをクオンタイズ]マクロの操作を詳しく見ていく前に、いくつか基本的なことについて説明しましょう。

これらを分かりやすく説明するために、まずタイムツールを選択しましょう。有効な場合、ノート分割(垂直線で示される)またはノートの音楽上の起点(三角形の付いた垂直線で示される)が各blobの先頭付近に表示されます。

ここで、[オプション]>[ノートエディター]サブメニューの[対象ノートを表示]オプションにチェックを入れます。このオプションには、ノートエディターの右上隅の歯車アイコンからもアクセスできます。

各blobの背後に灰色の四角形が表示されました。

素材を初めて分析すると、Melodyneにより、タイミング補正処理に関連する2つのパラメータが各ノートに対して算出されます。

まずは、ノートの意図された音楽上の拍です。灰色の四角形がその拍を示しています。四角形の左端は、グリッドラインに合わせられています。

次は、ノートの先頭または音楽上の起点が、それぞれノート分割または三角形の付いた垂直線で示されます。後者は、必ずしもblobの左端と一致していません。たとえば金管楽器では、実際の音は、息を吹き込んだ時の雑音の後に聞こえてきます。もちろん、この息もノートの一部ですが、タイミングの観点から見れば、本来の音が発せられ、希望の音高に達した瞬間が重要になります。

[タイムをクオンタイズ]マクロでノートをクオンタイズすると、各ノートの音楽上の起点(見つかっている場合。見つかっていない場合はノートの先頭)が、灰色の枠の左方向へと移動します。完全に左端まで移動するか、一部だけ移動するかは、スライダーで調整します。

起点が表示されないノートもあります。該当するのは、立ち上がりが非常に長く続くためどこから始まったのかはっきりと分からないノート――人声だけでなくほとんどのインストゥルメントもまた生成可能――の場合です。もちろん、こういったノートもどこかでスタートするはずですので、Melodyneはサウンドの起点――長いアタックの始点――を音楽上の起点として処理し、クオンタイズの対象(フレームの先頭)へと移動します。

各ノートの音楽上の起点を決定する際、Melodyneはオーディオ素材を注意深く分析し、ほとんどの場合、分析結果は音楽的に正確です。ただし、分析結果に同意できない場合、ノートアサインモードに切り替え、ノートの別の部分を音楽上の起点として定義できます。

[メロディック]アルゴリズムがオンの場合、Melodyneはいわゆる「歯擦音」を探してマーキングします。「歯擦音」という場合、Melodyneでは、摩擦子音や「s」、「z」、「zh」などの二重音字だけでなく、「k」や「t」などの単語の一部分、および、ボーカリストが語間に吸ったり吐いたりする息の音も含みます。このようなサウンドがblobの起点と一致する場合、Melodyneにより識別される音楽上の起点は必ずその後に来ます。これにより、クオンタイズ適用時に歯擦音自体をノートの音楽上の起点として見なした場合に比べてより適切な結果が生まれます。

時間クオンタイズマクロによる歯擦音の処理を変更するもうひとつの方法は、分割ツールを使用して歯擦音の終わる場所でノートを2つに分割することです。たとえばある単語の冒頭の「S」の場合、blobがSに割り当てられます。無声の「S」には音楽上の起点はありませんから、このblobの左側(サウンド自体の開始点)がクオンタイズにとって重要な位置として扱われます。

ポリフォニックなオーディオ素材でのクオンタイズについて: ポリフォニック素材では、アンカーに三角形が付いているものと付いていないものがあります。三角形の付いていないアンカーは、三角形が付いている別のノートに関連しており、そのため、クオンタイズ中は別に扱われます。ピアノでEのすぐあとにCを弾くと、Eに付随するトランジェント(過渡特性)がCの音にも含まれます。この場合、Cには三角形が付けられ、Eには三角形が付きません。これら2つのノートを、特別な理由もないのにクオンタイズ中にそれぞれ別の値で動かすことは、あまり意味がないだけでなく、アーチファクトが生じてしまうことさえあります。

そのため、以下のルールが適用されます。クオンタイズ中に両方のノートを選択すると、三角形の付いているノートと付いていないノートは、同じ値だけマーカーに向かって移動します。2つのノートは、主従関係にあると考えるとよいでしょう。三角形の付いたマーカーが表示されているノートだけが選択されている場合、そのノートだけがクオンタイズされます。三角形の付いていないマーカーが表示されているノートだけが選択されている場合、クオンタイズは行われません。ノートを複数選択している場合も同じように動作します。もちろん、聞こえ方に満足がいかない場合は、手動でノート(すべてまたはいずれか)を動かすこともできます。

和音では、これはクオンタイズの動作を定義する選択手順です。和音の各音が個別に選択されており、クオンタイズされている場合、上記のとおりに動作し、個別にグリッドに沿ってまたはグリッドの方向に移動します。これは、たとえばギターで弾いた和音の各音(すばやく連続して弾いているため同時に聞こえる)になります。これは演奏では実現不可能ですが、音楽的には望ましい結果です。

一方、クオンタイズ前に和音のすべての音が選択されている場合、各音は同じ間隔で移動します。和音の内部のタイミング(ギターの例で言えば連続する弦の音を分割する間隔)と奏法の自然さは維持されます。和音はクオンタイズ後もクオンタイズ前とまったく同じように聞こえますが、先走りや遅れが解消されます。

和音内の各音の前後の移動の幅は、和音内の最初と最後の音のサウンドの中間に最も近いところに位置する音により決まります。6弦ギターでつま弾いた和音の場合、3番目または4番目の弦で弾いた音がこれにあたります。他の弦の音をグリッドラインに合わせたい場合、和音全体を手動で動かすことができます。

[タイムをクオンタイズ]マクロを開きパラメーターを設定する

編集したいノートを選択します。ノートを1つも選択しない場合、デフォルトではマクロ編集がすべてのノートに適用されます。

[タイムをクオンタイズ]マクロを開くには、[編集] > [クオンタイゼーションマクロ] > [タイムをクオンタイズ]を選択するか、ノートエディターのツールバー右の[タイムをクオンタイズ]ボタン(画像参照)をクリックします。

まず、タイミング補正の基準となるグルーヴの単位を選択します。

[なし]を選択すると、クオンタイズ位置が、上記の通り灰色の四角形の左端に設定されます。四角形の左端は、拍を示すグリッドラインに合わせられます。Melodyneは、分析後ノートをこの拍に合わせて配置します。(概して、システムはうまく機能します。しかし、Melodyneがノートをうまく検出することができず、クオンタイズ後にノートを手動で前後の拍に動かさなくてはならない場合もあります。)つまり、[なし]を選択すると、[タイムをクオンタイズ]マクロに、Melodyneによる素材の分析結果により配置された拍の上へ(または拍に近づくように)ノートを動かすよう指示を出しているのと同じことになります。

[トラック]を選択する場合、別のトラックまたはMelodyneプラグインの別のインスタンスをクオンタイズ参照として使用できます。ボタン上のメニューで、希望のトラックまたはインスタンスを選択します。選択したトラックのノートがグリッドとなり、現在編集されているノートまたはトラックがこのグリッドに合わせてクオンタイズされます。もっと正確に言えば、クオンタイズ対象は参照トラックの灰色の枠により決まります。 他のボタンで、クオンタイズの対象グリッドを選択できます。ノート値の隣の「T」は、対応する三連符を示しています。たとえば、グルーヴ単位に[1/4]を選択すると、灰色の四角形が最も近い4分音符(クロチェット)へと移動し、クオンタイズ位置がこの位置に設定されます。

タイムクオンタイズのマクロは、多くのMIDIシーケンサに一般的に搭載されているクオンタイゼーションとは異なり、より音楽的に働きます。選択されているグリッドにすべてのノートをスナップさせるのではなく、選択されているノートのリズムの強調位置を編集するのです。たとえば、連続する16分音符がいくつか含まれるパッセージがあり、これを4分音符へクオンタイズすると、連続する16分音符の各先頭部分が最も近い4分音符へとスナップします。連続部分に含まれる16分音符自体のタイミングが変更されることはありません。修正したい場合は、その後にタイムクオンタイズ動作を行うことで実行できます。この場合、16分音符をクオンタイズの単位に選択します。

[強度]スライダーでは、クオンタイズによりクオンタイズ位置へとノートが動く際の距離をパーセンテージで設定します。たとえば、スライダーを[0%]に設定するとノートは動かず、[50%]に設定すると半分の距離だけ動き、[100%]に設定すると拍の上ちょうどに合わせられます。グルーヴ単位とクオンタイズの強度は、どちらもオーディオの再生中にリアルタイムで変更することができます。設定を変更することで、どのように聞こえるのか、そして表示がどのように変わるのか(ノートエディターのblobがどのように移動するのか)確認してみましょう。

タイミングツールを使ってノートの位置を微調整済みである場合、Melodyneはそれらのノートには変更を加えません。 デフォルトでは、ノートを1つも選択しないで[タイムをクオンタイズ]マクロを開き、パラメータの変更を行うと、変更内容がすべてのノートに適用されます。 手動で調整済みのノートにもマクロを適用させたい場合、[手動で編集したノートを含める]のチェックボックスを選択します。 手動での微調整がなされておらず、このオプションが選択不可の場合は灰色表示されます。

再開時にマクロと補正値を閉じる

[OK]で変更内容を維持し、[キャンセル]で取り消します。 [タイムをクオンタイズ]マクロを使用したあとで、手動でノートを移動させてもかまいません。

マクロを使って編集したノートを選択し、再びマクロを開くと、前回適用された設定が表示されます。 つまり、マクロは、各ノートに以前適用されたパラメータを記録しています。 適用されたパラメータが異なっている複数のノートが現在の選択範囲に含まれている場合、各パラメータの平均値が表示されます。  注:他のトラックをグルーヴ参照として使用した場合は例外です。その場合、再度マクロを開くと、ノートの表示値は「0%」になります。 [OK]で終了したあとも、[取り消す]機能を使ってマクロ編集を取り消すことができます。