ノートアサイン用ツール
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Telling tones and overtones apart– 新規ノート分割の挿入や変更により最適なサウンドを作成してクリエイティビティを最大化。 Melodyne 5 studioの場合。別エディションでは異なることがあります。日本語字幕。
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Optimizing complex material– 表示されているノートが実際に演奏された音と一致しているかどうか確認。Melodyne 5 studioの場合。別エディションでは異なることがあります。日本語字幕。
ノートアサインメントモードのメインツール
ノートアサインメントモードでは、ツールボックスには通常の編集モードで使用する機能以外のツールがあります。最も重要な違いは次のとおりです。ノートアサインメントモードでは、ツールはノートのサウンドに直接または即時の影響は与えず、むしろ、検出され表示されたノートを実際の音楽にできるだけ合致するよう働きます。これにより、素材をその後より効率良く編集でき、最適な結果を得られるようにします。
使用できるツールは、アルゴリズムにより異なります。
ノートアサインメントモードのメインツールには他のツールの重要な機能が組み合わせられており、通常の編集モードの場合同様、ツールを変更することなくさまざまな一般的なタスクを実行できます。
- blob下側では、メインツールは_アクティベーション_ツールとして機能します。
- blob上側では、メインツールは_ノート分割_ツールとして機能します。
それぞれ順に説明します。
アクティベーションツール
アルゴリズムに[パーカッシブ]または[ユニバーサル]が選択されている場合、アクティベーションツールに機能はありません。そのため、以下は[メロディック]、[パーカッシブ(ピッチ)]、ポリフォニックアルゴリズムのいずれかが選択されている場合にのみ該当します。
アクティベーションツールをblobの上にマウスオーバーすると、その上音がバックグラウンドに表示されます。こうして、選択した音のblobまたは選択した音の部分音と音高が一致する音を示すシルエットを一目で確認できます。
音を示す通常のblobに加えて、「シルエット」だけが表示された空洞のblobも表示されます。これらの音は、Melodyneが分析により(最終的には別の場所にblobを配置したが)該当する音である可能性があると判断したもので、そのため空のblobとして表示されています。
これをアクティブな音に変えることもできます。この操作はノートアサインモードでのみ可能ですので、内側が空洞のシルエットで示されるblobはノートアサインモードでのみ表示されます。通常の編集モードに戻ると、ディスプレイには中が空洞でないblob(アクティブな音)のみ表示されます。潜在的な音は、[メロディック]または[ポリフォニック]アルゴリズムでのみ生じます。
ポリフォニック楽器の場合、このような潜在的な音は特に重要な役割を果たします。なぜなら、Melodyneでは時折、実際に演奏された音が上音として誤って認識され、塗りつぶされたblobとして表示されることがあるからです。ノートアサインモードの目的は基音のみが塗りつぶされたblobで表示させることなので、このような場合、まずこの塗りつぶされたblobをシルエットと置き換える(つまり該当する音を無効にする)必要があります。
逆のシチュエーションもあり得ます。演奏された音の音量が非常に小さいと、Melodyneはその音をそれより低い音の上音と勘違いし、シルエットで表示してしまいます。この場合、シルエットを塗りつぶされたblobと置き換える(つまり該当する音を有効にする)必要があります。
シルエットをダブルクリックすると塗りつぶされたblobと置き換わり、該当の音が有効になったことを示します。
塗りつぶされたblobをダブルクリックするとシルエットと置き換わり、該当の音が無効になったことを示します。この方法で音を無効にすると、もともとこの音に割り当てられていたスペクトルエネルギーが残りの(有効な)音に分散されます。そのため、演奏された音として誤って表示されていた上音を無効にすると、スペクトルエネルギーが本来あるべき音に正しく割り当てられます。
一定の時間範囲内で鳴っている音に該当するすべてのblobを無効にした場合、スペクトルエネルギーを割り当てる先がないため、無効になったblobに置き換わる無音の音が作成されます。1つの音しか鳴っていない場合もこれと同じ原理が適用されます。これは[メロディック]または[パーカッシブ(ピッチ)]アルゴリズムが使用されている場合は常に当てはまりますが、ポリフォニックアルゴリズムでも、メロディパッセージ(2つ以上の音が常に鳴っている状態ではない)では、無効にした音は自動的に無音の音に置き換えられます。
一定の時間範囲になっているすべての音を無効にする(無音の音を作成する)ことは、該当する楽器をその時間無音にするべきである(スコアに休符がある)場合にのみ意味を成します。無音の音――その違い、生じる状況、通常の編集モードでの動作――について詳しくは、こちらをご参照ください。
アクティベーションツールでblobをドラッグする
ダブルクリックは、アクティベーションツールを使用する際に使用頻度の高い操作です。ですが、アクティベーションツールでblobをドラッグし、Melodyneの検索範囲を別のエリアに変更することもできます。特に、音高が分からない素材では、この方法で音高を割り当てることができます。これは、アルゴリズムインスペクターで[ロバストピッチカーブ]オプションがオンの場合に特に当てはまります。
ポリフォニックアルゴリズムの場合、新しい音高の検索をトリガーするにはblobを1オクターブほど下にドラッグする必要があります。現在の音の1オクターブ下に潜在的な音すべてが表示されます。
Melodyneがドラッグしたエリア内にその音に対して適切と判断した位置を見つけると、blobがそこにスナップします。見つからない場合、元の位置に戻ります。Melodyneは特定の音高のみを適切な音高として考慮します。これはMelodyneの強みのひとつです。オーディオ素材を音楽的にインテリジェント分析し、スペクトルエネルギーを別の音に無意識のまま割り当てるようなことはしません。演奏された音の音高ではあり得ない音高をすべて除外してから、「あり得る」一握りの候補を提示し、ユーザーに選択を仰ぎます。
アクティベーションツールでAlt-ドラッグする
ポリフォニック素材の場合、Melodyneが考慮に入れるべき音高を指定することができます。たとえば、希望の音高へとblobをドラッグしたが(Melodyneがその音高を適切な音高だと判断しなかったため)音高が割り当てられなかった場合、Altキーをおしたままblobドラッグして独自にターゲットの音高に割り当てることができます。こうすることで、blobを強制的にストレートなピッチカーブで配置することができます。
Altキーを押したままだと、ポリフォニックアルゴリズムの場合にもblobを上下どちらの方向にもドラッグできます。
ピッチセンターの再計算
アクティベーションツールでノートを動かすと、ノート内でのピッチカーブの新規検索が自動で実行されますが、これは、いずれかのモノフォニックアルゴリズムが選択されている場合にのみ実行されます。
新規検索の実行中、Melodyneによりノートのピッチセンターが再計算されます。これは、blobをわずかに動かしてほぼ直後に元の位置にほぼすぐに戻した場合にも起こります。たとえば、アルゴリズムインスペクターで[ロバストピッチカーブ]オプションをオンまたはオフにした後にAltキーを押したままダブルクリックすることでも、ピッチカーブの新規検索とピッチセンターの再計算をトリガーすることができます。
Melodyne 5でノートのピッチセンターの判断に使用されているテクノロジーはこれまでのバージョンのテクノロジーに比べて優れているため、これは古いバージョンのMelodyneからファイルをインポートする際に特に便利です。再計算(Altキーを押したままダブルクリックしてトリガー)後、blobは上下にわずかに再配置され、旧バージョンのプログラムでの結果よりも優れた結果が得られます。特に、通常の編集モードでダブルクリックまたはピッチ修正マクロを使用してピッチをクオンタイズした場合に優れた結果が得られます。
一方、元の検出がMelodyne 5で行われている場合、ピッチセンターを再計算しても何も変わりません。2回目も結果は変わらないためです。ノートアサインモードでのAlt-ダブルクリックが違いを生む唯一の状況は、アルゴリズムインスペクターの[ロバストピッチカーブ]オプションにチェックマークが入っているかどうかです。このオプションについて詳しくは こちらをご参照ください。
スライダーと「エネルギーイメージ」
ポリフォニックなオーディオ素材の検出結果を編集中、メインまたはアクティベーションツールを選択している場合、ツールボックスの隣にスライダーが表示されます。このスライダーでは、潜在的なノートの表示数と、潜在的なノートから生じる実際のノートの数を設定できます。
スライダーの右側のインジケーター(丸括弧)を左へ動かすと、表示される潜在的なノートの数が減ります。右へドラッグすると、表示される潜在的な音の数が増えます。編集を行いたいノートがすべて表示され、有効なノートに切り替わるように設定を調整します。こうすることで、素材の概要がよりつかみやすくなります。
次に、左側のインジケーター(球)を一方から他方へドラッグします。左へドラッグすると、表示されている潜在的なノートが有効なノートへと変化する確率が下がり、結果として有効なノートの数が減ります。右へドラッグすると、確率が上がり、結果として有効なノートの数が増えます。
潜在的なノートの数以上に有効なノートを増やすことはできませんので、球を丸括弧を越えて右へと動かすことはできません。球と丸括弧がくっついた状態で右へと動かすと、表示される潜在的なノートと有効なノートへと変化する潜在的なノートの両方が同時に増えます。有効なノートの数と実際に演奏されたノートの数とができるだけ一致するよう、2つのインジケーターを調整します。その後、ノートを手動で個別に修正していきます。
アドバイス:インジケーターを遠くに動かすと、Melodyneが行うべき処理量が増え、結果を表示するのに時間がかかります。アルゴリズムインスペクターを開き、[オーディオを分割]ヘディング下の[自動]の横にあるチェックマークをクリアして、この遅延を縮小することができます。これにより表示がスピードアップしますが、ノート間の信号成分の再分配の結果を聞きたい場合、点滅する[実行]ボタンをクリッするか、[自動]オプションをもう1回押します。
場合によっては、素材では聞こえているのに、その音が有効なノートとして検出されておらず、丸括弧を右端まで動かしても、その音が潜在的なノートとしても表示されないことがあります。このような場合、丸括弧を右端まで動かし(最大値に設定し)てから、足りないノートがあると思われるノートエディター上の位置へマウスポインタを置きます。すると、有効なノートとしても潜在的なノートとしても検出されなかった音が、マウスポインタのまわりに黒い影のような「エネルギーイメージ」として表示されます。この方法で足りない音を見つけたら、ダブルクリックして有効なノートへと変化させます。その後、さらにダブルクリックして、「潜在的な」ノートと「有効な」ノートとの間で状態を切り替えることができます。
ブラインド
特に、倍音を多く生成する楽器では、実際に再生した音よりもずっと高い(またはずっと低い)音が広帯域にわたって検出されることがあります。このような場合、「ブラインド」を使うと便利です。ブラインドは編集エリアの一番上と一番下に表示されます。表示されていない場合は、編集エリアを上下にスクロールすると表示されます。
上側のブラインドは、下端をドラッグして上げ下げします。下側のブラインドは、上端をドラッグして上げ下げします。こうして、Melodyneがノートを配置する範囲を定めることができます。ブラインドの下に隠れているノートは、事前に手動で有効化しない限り、すべて自動的に無効化されます。しかし、ブラインドの下に隠れているノートも、「ブラインド越しに」オンとオフを切り替えることができます。ブラインドを範囲の目安として使用し、その後ノートの有効と無効を手動で切り替えて修正するとよいでしょう。
スタート位置ラインと指定のスタート位置
ノートアサインメントモードでいずれかの分割ツールを選択すると、ノートエディターに垂直の線が表示されます。同時に、2つのインジケーターの付いたスライダーがツールボックス横に表示されます。
この垂直の線を「スタート位置ライン」と呼びます。それぞれのblobからタイムルーラーへと並行に伸びるこの線は、Melodyneにより識別されたオーディオファイル内の_音楽上のスタート位置_を示しています。「指定のスタート位置」は、一番上に反転した三角形が付いた短い垂直の線で示され、常にblobの先頭付近(だが必ずしも左端ではない)に表示されます。有効な場合、ノートの有効な音楽上のスタート位置であるとMelodyneが判断したものを示しています。音楽上のスタート位置は、ノート先頭の分離記号に一致する可能性がありますが、必ずしも一致する必要はありません。たとえば金管楽器では、各音は、息を吹き込んだ時の雑音の後に聞こえてきます。この雑音も音の一部であるため、ノート分割の右に表示されます。しかし、タイミングの観点から見れば(クオンタイズでも同様)、本来の音が発せられ、希望の音高に達した瞬間_こそ_が重要になります。Melodyneが音の音楽上のスタート位置を正確に示すことができない場合、スタート位置の線は表示されず、ノートには指定のスタート位置はありません。その場合、クオンタイズ目的で、ノートの左端がスタート位置として扱われます。
長いスタート位置の各線の端にも反転した三角形のインジケーターが現れ、タイムルーラーのすぐ下に表示されます。このインジケーターが空洞でない場合、対応するスタート位置ラインが表示されており、アクティブ状態になっています。空洞の場合、ラインは非表示で、これを「潜在的な」または「アクティブでない」スタート位置ラインと呼びます。アクティブでないスタート位置ラインは、常にノートの先頭と一致します。ただし、該当のノートに対して、Melodyneが音楽上意味のあるスタート位置を確実に識別できていない状態です。スタート位置ラインが潜在的なものでしかなく、垂直線(指定のスタート位置インジケーター)がblobに表示されていないのはそのためです。
丸括弧と球の2つのスライダーインジケーターはそれぞれ、潜在的なスタート位置に対するMelodyneの識別感度と、Melodyneがスタート位置をアクティブ状態に指定する見込みの度合いを設定します。設定は、結果として表示される三角形の総数と、赤で埋められた三角形のパーセンテージに反映されます。丸括弧をゆっくり右に動かすと、タイムルーラー下に表示される空洞の三角形(「潜在的な」スタート位置を示す)の数が増えていきます。これは、素材内のスタート位置の存在の_可能性_を推測するMelodyneの感度が上がっていることを反映しています。「可能性」なのは、追加されるラインは非表示のままであり、今のところblobに影響を与えていないためです。
ただし、これはスライダーの2つ目のインジケーターである球を使用して変更できます。球を右に動かすと、それまで非表示だった「潜在的な」スタート位置ラインがアクティブになり、すぐ下のblobにスタート位置が表示されます。
タイムルーラー下の空洞の三角形のインジケーターをダブルクリックすると、潜在的なスタート位置ラインをアクティブに変更できます。また逆に、該当する空洞でない三角形をダブルクリックすると、アクティブなラインを無効にできます。ルーラー内の空の場所をダブルクリックすると、新しいスタート位置ラインが生成されます。
このインジケーターをドラッグして、スタート位置ラインを時間軸上で前後に移動できますが、Melodyneではほとんどの場合最適な位置が認識されるため、この操作が必要になることはほとんどありません。ただし、微調整が必要になる場合はあります。試しにスタート位置ラインを左から右へ動かすとき、blobの先頭を超えると、(指定のスタート位置の存在を示す)逆三角形の付いた垂直線が表示されます。三角形はしばらくの間ラインを追い、ノートの減衰が始まると、音楽上のスタート位置の表示が意味をなさなくなるため消えます。
スタート位置ラインには「磁石」のような特性があり、この特性はラインを動かすときだけでなく、ノートを分割するときやスタート位置を手動で指定するときにもみられます。
ノート分割ツールと分割タイプツール
ノート分割ツールと分割タイプツール(ツールバー内のすぐ下)は、すべてのアルゴリズムで使用でき、編集モードでの場合と同じように機能します。ノート分割はダブルクリックして設定または削除することができ、時間軸に沿って動かすこともできます。分割タイプツールでは、ハード分割とソフト分割の間で切り替えることができます。
ただし、通常の編集モードと異なり、ノートアサインメントモードでは、分割ツールは音楽の再成形ではなく分析(検出)の編集に使用されます。ここでの目的は、blobが実際の音をできるだけ正確に反映するようにすることです。 また、ノートアサインメントモードで和音に実行した編集は、スタート位置ラインの磁石のような吸着特性により、サンプル精度で適用されます。通常の編集モードではこれは不可能です。 アドバイス:ソフトな分割でピッチが異なる2つ以上のノートを得るには、コンテキストメニューで[選択範囲を連続シーケンスに変換]を選択します(下参照)。
ノート分割の配置とスタート位置の編集は連動しており、ノート分割ツールでスタート位置を編集することもできます。タイムルーラー近くの三角形のスタート位置マーカーのそばにポインターを動かすと、形が変化してスタート位置ツールに似た形状になります。
指定のスタート位置はいつでも無効に(指定を解除)できます。新しいスタート位置は、有効なスタート位置ラインがblobの妥当と思われる前方(blobの左端)にある場合にのみ指定できます。タイムルーラー下のスタート位置インジケーターを見てみましょう。関連する位置に、空洞の三角形(潜在的なスタート位置の存在を示す)が表示されています。この三角形をダブルクリックすると、このスタート位置ラインが有効になります。
潜在的なスタート位置ラインが予期される位置に検出されていない場合、ツールボックスそばのスライダーを使用して、潜在的なスタート位置ラインを表示させることができます。これを行うには、右側のコントロール要素(丸括弧)を右方向に動かします。
別の方法として、スタート位置マーカーのルーラーの空のエリアをダブルクリックして新規のスタート位置ラインを作成し、マウスで任意の位置にドラッグすることもできます。 ポリフォニックな素材の場合、対応する位置に和音があると、この操作は和音を構成するすべての音に影響します。 [メロディック]、[パーカッシブ]、[ユニバーサル]のいずれかのアルゴリズムが選択されている場合、スタート位置ラインを有効にするか、新しいスタート位置ラインを作成すると、問題となる位置の近くにノート分割が自動挿入されます。
アドバイス:スタート位置ラインを編集する際、ノートのスタート位置はどこかにあるような気がするのに潜在的なスタート位置ラインとしても表示されていない場合、関連するエリアをスクラブすることで正確な位置を見つけることができます。その位置では、かなりのノイズ成分が聞こえます。このノイズが最も大音量になるところで、マウスボタンから指を離して、ダブルクリックしてスタート位置ラインを配置します。
コンテキストメニュー: いずれかの分割ツールを選択すると、ノートエディターにコンテキストメニューが表示され、次のコマンドが表示されます。
- 選択範囲を連続シーケンスに変換:このコマンドでは、ハードな分割の間にある2つ以上の連続するノートから構成される選択範囲を、ソフトな分割の連続するシーケンスに変換できます。この操作はピッチの異なるノートでも可能で、メロディラインを集めてよりまとまりのある分かりやすい編集が行えます。
- ノートの分割: このコマンドは、Melodyneで指定されている位置でノートを自動分割します。ツールを使用して編集する前に歯擦音や息継ぎのノイズを分離するためにボーカルのパッセージで正確なカットを行う必要がある場合に便利です。
- スタート位置ラインでノートを再分割:このコマンドは、選択されているノートを、アクティブなスタート位置ラインの位置で分割します。同時に複数のノート内の同じ位置に分割を挿入し、他の場所に見つかった不要な分割を削除できます。
- 選択されているグリッドを基に分割をリセット:このコマンドは、スタート位置と、選択されているタイムグリッド上の適切な位置でノートを分割します。このコマンドは、[メロディック]、[パーカッシブ]、[ユニバーサル]アルゴリズムで使用できます。
スタート位置ツール
スタート位置ツールは、ノート分割ツールのサブツールです。
すべてのアルゴリズムで使用でき、ダブルクリックしてスタート位置を手動で指定または指定解除できます。 このツール機能は、ノートインスペクターのオプションをチェックすることで、ノートアサインメントモードでも使用できます。 指定されたスタート位置は、赤い三角形が一番上についた短い垂直線で示され、blobの最左端またはそこに近い場所に表示されます。
タイムルーラー下のスタート位置マーカーのリージョン内でスタート位置ツールを動かすことで、スタート位置ツールでこれらを編集できます。ただし、一般的にはこの目的には上記のノート分割ツールを使用します。
歯擦音レンジツール
Melodyneは検出可能なピッチカーブのないサウンド要素すべてを「歯擦音」として定義します。ボーカルの場合、摩擦子音や「s」、「z」、「zh」などの二重音字だけでなく、「k」や「t」などの単語の一部分、および、ボーカリストが語間に吸ったり吐いたりする息の音も含まれます。さまざまなピッチツールが使用される場合、これらの要素は楽音要素とは異なって処理されます。ボーカルトラックの編集時に特に自然で優れた結果が得られます。Melodyneが歯擦音の存在を検出するには、[メロディック]または[パーカッシブ(ピッチ)]アルゴリズムのいずれかが有効である必要があります。
歯擦音とその範囲は自動で検出されされますが、必要であれば、歯擦音の境界を自由に再描画することができます。歯擦音レンジツールを使用してノートアサインモードで行えます。
このツールが選択されている場合、Melodyneにより検出された歯擦音の範囲は網掛け表示で表示されます。歯擦音はノートの冒頭および/または末尾にありますが、中央にはありません。このツールには以下の機能があります。
- 網掛け表示エリアの端をクリック&ドラッグして該当の歯擦音の範囲を拡張または縮小します。
- 網掛け表示エリアをダブルクリックすると削除されます。(これにより、Melodyneは該当の歯擦音をサウンドの他のすべての要素と同じように扱うようになります。これで、たとえば特殊効果として「S」に極端なピッチシフトを適用することができます。)ダブルクリックの時点で複数のblobが選択されている場合、すべての歯擦音は同じように解除されます。
- 網掛けのないノート(または網掛けが削除されたノート)をダブルクリックすると、ノート内の歯擦音が検索されます。ノートに応じて、以下のいずれかの状態になります。
- Melodyneによりノートの冒頭およびまたは末尾に歯擦音が検出され、網掛けにその範囲が表示されます。場合(息継ぎなど)によってはblob全体が網掛け表示になることもあります。この場合、blobのどこをクリックしたかは関係ありません。前半分でも後半分でも結果は変わりません。これは、ダブルクリックでそこに含まれる歯擦音を無効にしている場合にのみ生じます。もう一度ダブルクリックすると、Melodyneが歯擦音を再検索します。
- blobが示すノートに歯擦音がない(Melodyneが歯擦音と見なすサウンド要素がない場合)けれど、歯擦音として処理したい場合、ダブルクリックにより歯擦音範囲を作成できます。もっと正確に言えば、ツールでblobの前半分をダブルクリックすると、歯擦音範囲がblobの冒頭からクリックした位置まで伸びます。blobの後半分(右側)をダブルクリックすると、歯擦音範囲がクリックした位置からblobの末尾まで伸びます。両方を行うこともできます。blobの冒頭に歯擦音範囲を作成してから別のblobの末尾に作成することも、逆も行えます。
アドバイス:網掛け表示エリアの境界を音で確かめるには、アルゴリズムインスペクターの[歯擦音]プレビューコントロールを使用します。完全右の設定では、ノートの網掛け表示部分のみが聞こえます。完全左では、網掛け表示のないblob部分のみ聞こえます。
エネルギー分配ツール
このツールは、ポリフォニックサステインとポリフォニックディケイのアルゴリズムでのみ使用できます。同時に鳴っている複数の音の間での特定のサウンド要素の分配を調整します。
和音や特定の音程(オクターブなど)の場合、2つ以上の基音が同一の上音を共有していることがあるため、Melodyneは、該当するノート間でこれを共有せざるを得ません。そのため、結果の分配が好ましいものにならない場合がありますが、その場合次のような操作で影響を与えることができます。(他の基音のエネルギーを代償に)ある基音により多くのエネルギーを割り当てることで、その基音の倍音成分を補強し、より明るく突出したサウンドにすることができます。逆に、(他の基音に適用するために)ある基音からエネルギーの一部を奪うこともできます。この方法で、さまざまな音の音色を調整し、最適なバランスを実現することができます。
このツールは、その性質上、同時に鳴っている2つ以上の音がポリフォニックな素材内で検出されており、そのいずれかが編集されている場合にのみ効果を持ちます。また、分配可能なエネルギーは問題となる位置に存在しており、問題となるblobに対して使用できます。このツールで、ある程度まで希望の値を入力します。達成の方法と程度は、オーディオ素材により異なります。
極端なケースでは、このツールは何の効果ももたらしません。たとえば、同時に鳴る2つの音があり、高い方の音が低い方の音の上音内に表示されない場合(この例が該当するかどうかは、アクティベーションツールを使用して上音を表示させると分かります)、これら2つの音には共通のエネルギーがないため、分配ツールを使用して再配置することができません。このような場合、このツールは視覚的にも音的にも効果をもたらしません。
このツールを使用してblobをクリックして上にドラッグするとエネルギーの分配量が増え、下にドラッグすると分配量が減ります。
ノートインスペクター
通常の編集モードの場合同様、ノートアサインメントモードのノートインスペクターは選択されているノートを調整しますが、表示されるパラメーターが異なります。
ピッチ: 3つのフィールドは編集モードのフィールドに対応しており、i)最も近い半音階音、ii)そこからの偏差(セント単位)、iii)相当する周波数(ヘルツ単位)を表示します。これらのフィールドに値を入力することはできませんが、blobが別のピッチに割り当てられる(オクターブエラーを修正するなど)とフィールドの内容が更新されます。
エネルギー分配: インスペクターフィールドには、エネルギー分配ツールで行った変更が反映されるほか、値を直接入力することもできます。
ハードな分割: このフィールドの状態は、分割タイプツールで行った変更またはボックスにチェックマークを入れるかチェックマークを消すことで決まります。このボックスは、選択されているノートと隣り合うノートの間にソフトな分割が存在している場合にのみチェックマークを入れることができます。
スタート位置: このフィールドの状態は、スタート位置ツールで行った変更またはボックスにチェックマークを入れるかチェックマークを消すことで決まります。対応するツール同様、選択されているノートをスタート位置ラインにくっつけたり離したりできます。